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イケメン戦国(MYNAME

第3章 僧侶の疑念



「こんな小さな音じゃ聞こえないでしょ」
「この鈴の音は聞き逃さないから絶対に大丈夫」
「お前が外にいて舞が城の中にいてもか?」
「もちろん♪」


ふふ。こんなに自信満々で言われると、本当にそうなのかもって思えてくる)



「昨夜、舞様が力になってくれたから、今度は俺が役に立つ番だもん。遠慮なく使ってね」
「ありがとう。何かあったら使わせてもらうね」
「うん。それじゃあ早速、次のお仕事開始。はい、どうぞ」
「これって……地図?」

…………

その後、私は地図と少しのお金を持って、夕暮れの城下町を歩いていた。


(城下町ってこんなに賑やかだったんだ。道もだいぶ覚えられたし、初日の仕事は順調だ)


蘭丸くんに渡された地図を見ながら、出発前のやりとりを頭に浮かべる。

……

「これって……地図?」
「うん。舞様には町の把握をしてもらいまーす!」
「町の把握……それがお仕事なの?」
「政宗様も家康様も。他の人も御殿はみんな城下にあるから、何か届け物をする時、道がわからないと困るでしょ」
「! たしかに」


(そっかみんなこのお城に住んでるわけじゃないんだ)


「俺も一緒に行きたいんだけど、やらなきゃいけないことがいっぱいあって……1人で大丈夫?」
「うん。地図ももらったし! 迷子にはならないと思う」


(どの道、三ヶ月間ここで暮らさなきゃいけないんだから、道は知っておいた方がいいよね)


「ついでに美味しいもんでも食ってきたらどうだ。ほら、手出してみろ」

言われた通り手を出すと、ずっしりとした重みのある小袋が乗せられた。


(え、もしかしてこの音お金!?」


「わ、悪いですよ! こんなにたくさん」
「安土の城下は案外広いぞ。歩き回ってふらふらになったら仕事にならないからな、適当に茶屋でも見つけて休憩してこい」
「どこかで倒れて城まで戻れませんでしたなんてことになったら、それこそ迷惑だ,し。それに天月と話してきなよ。城の中にいるよりもいいんじゃない。お互いの気分転換にもなるでしょ」


(う…確かにそうだ)


「じゃあ、ありがたく使わせてもらいます」

「おう。そうしろそうしろ」

政宗さんはニヤリと笑う。それに私は微笑んだ。

「……はあ」

家康さんは私の背後に視線をやり、少しの沈黙の後ため息を吐いた。

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