第2章 衣食住揃えば生きていけると思うんだ。
ねー、三蔵さま、と悪絡みするように光明三蔵の髪を触る。
「祭は私の髪が好きですねぇ。」
「うーん、なんか、三蔵さまの髪が三つ編みになってないと三つ編みにしたくなるほど好きです。」
考え方が独特ですね。と言われてしまうが知ったこと無かった。
「三蔵さま、」
「はい、なんですか?」
「賭けをしませゆか。」
「呂律が回ってないですよ。あなた本当はお酒弱いんですね。」
「それは置いといて、賭けですよ、賭け。好きですよね?」
「私はこれでも功徳な僧侶なので...」
散々麻雀で絞り取ったくせして何を言っているんだと思う。
「御託はいいんですよ。」
「では、何をかけますか?」
「うーん、じゃあもし私が勝ったら旅しましょう。旅。江流と、私と、三蔵の3人で。」
これは名案だと思う。
私は色々とあったけどこの2人が大好きなのである。
「」
「で、もし私が負けたら光明三蔵が江流に三蔵法師の役職を渡した後にご飯奢ります。」
それまでには都市でお金ためるので!
とびっきりの笑顔を光明三蔵に向ける。
あまりに無知な私は約束をするしか方法がなかった。
「賭けは江流が無事に三蔵法師になるかどうかで、」
「それは...また」
「なると思います。いや、なる。絶対江流は三蔵法師になる。」
三蔵法師の髪を掴む手に自然と力が入る。
「......死なないで」
光明三蔵は何も答えてはくれない。
小さな言葉の意味を聞かずに優しく頭を撫でてもらった。