第2章 衣食住揃えば生きていけると思うんだ。
二日酔いである。
昨日光明三蔵と酒を飲んだことは覚えているのだが、何故か記憶が吹き飛んでいるらしい。
頭痛とともに目覚めた私はこれまで一応世話になった人達に挨拶をして、自身の数少ない荷物を行商人の荷車に置いてもらった。
そして、最後に、1番世話になった江流に挨拶をしようとしたら、いつも仕切ってる年寄りのお坊さんに引き止められた。
「江流に、挨拶したいんですけど...」
二日酔いである上に、時間がないのに引き止められて顔が歪む。
相手はため息をつきながらも、手に持っていた風呂敷を手渡してきた。
「...光明三蔵様からです。お元気で、とお伝えくださいと。」
ずっしりと重みを感じるのでちらりと中身を確認しようと思ったらその手を叩かれた。
「馬車の中でみなさい。あなたは本当にせっかちというか、慌ただしいというか...」
説教の予感がしたので直ぐに謝り、脱兎のごとくその場を離れた。
そして
そのあと江流には会えずに
私は寺を出ることとなった。
しかし、まさか旅の途中であんな呪いを受けるなんて思いもよらなかったのだ。
まぁ、兎に角として、また私が玄奘三蔵法師となった江流と再会し、悟空達と知り合うのもまた数年後の話だ。