第2章 衣食住揃えば生きていけると思うんだ。
よくよく考えると最遊記の世界じゃね?
何となく、お寺は自体は古臭いのに、倉庫に拳銃やら剣やら武器が入ってるのはおかしいとは思ってたけど最遊記の世界なら納得である。
というか、今更自分がトリップしていたことに気がついた。
しかも、中学時代に読みふけってた漫画の世界に。
はっきり言うとほとんどストーリーは曖昧な記憶だけで、キャラもメインはよく覚えているが、モブまでは覚えていない。
友人が最遊記のファンで信者を増やしたいと言いながら漫画を見せられハマってしまった。
友人が紅孩児推しということだけは覚えているのだが、紅孩児の容姿も曖昧なくらい私の記憶は薄れていた。
しかし、今はそれが問題ではない。
ストーリーの中であった光明三蔵法師の死ぬシーン。
頭を抱えました。
どうすりゃいいんだよ。
運の悪いことに私を都市部まで送ってくれる旅商人が明日来るというし、確実に時間が無い。
そして今日は光明三蔵法師にも江流にも会えない始末である。
昼間に思い出して、いつか会えるだろうと思っていたらいつの間にか夜になっていた。
これは運命のイタズラか何かでしょうか?
会えないとかないやん、これまで毎日と言っていいほど顔合わせてきたのに。
わんちゃん光明三蔵怪我してもいいから生きる方法がないかと考えては見たものの、黒髪無精髭坊主をみて逆に悲しくなった。
と、言うのも、何千年前に哪吒太子によって牛魔王が倒されたおかげで妖怪と人間が平和的に暮らしていたが、一部の妖怪が牛魔王復活のために動き出していて、その復活に必要なものの一つが、三蔵法師が受け継いでいる「天地開元経文」であり、それを狙って妖怪がこの寺に押し寄せて来るのである。
はっきりと言えばこの重要なイベントを回避する方法が見つからないのが現状である。
そして時間は明日の昼までと言われればもう何もできない気しかしない。
仕方なく、部屋に戻ると私の部屋の前に今日1番会いたい人物がいた。
「光明三蔵法師様。」
「少しお話しませんか?」