第2章 兄妹
「――おい、そこの奴。いつまで盗み聞ぎしているつもりだ?」
声をかけられ、リドルは心臓が飛び跳ねそうになった。不味い、コソコソ嗅ぎ回っていたのがばれていたのか。逃げるか、それとも潔く出て行くか――迷った末、リドルは堂々と出て行った。
「いやだな、盗み聞きだなんて。僕もちょうど手紙を出そうと思って来ただけですよ」
リドルはいつもの優等生の仮面を被って、2人の前に出て行った。するとアリスが嬉しそうに駆け寄ってきた。
「お早うリドル。こんな所で会えるなんて思わなかったわ」
「お早う。えっと、君の名前は――」
「あっ、ごめんなさい。まだ自己紹介していなかったわね。私はアリス・グレイン。こっちは兄のコルウス・グレインよ」
「おいアリス、こんな奴に自己紹介なんてするな」
「良いじゃないお兄様。私達、兄妹かもしれないんですもの」
その言葉に、リドルはまた心臓が高鳴った。今ここで思い切って聞いてみようか――ここなら邪魔者は誰もいない。
コルウスは冷たい赤褐色の瞳でリドルを睨みつけていたが、アリスは青い透き通った瞳をキラキラさせていた。リドルは賭けに出た。
「えっと、どういう事だい?僕らが兄妹かもしれないって?」
「お兄様から聞いたの。リドルってスリザリンの血を引いているんでしょう?実は私達もなの。でもお父様は、なんて言うか……その……浮気癖があって、お母さまの他にも女の人を沢山抱えていたって……」