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【ハリポタ】静かなる鎮魂歌【リドル】

第4章 願い


 コルウスは左手首の脈を計り、青い顔をした。どうやら今までの発作とは度合いが違うみたいだ。コルウスはコルウスを抱きかかえ再びベッドに寝かせると、急いでマダム・ポンフリーを呼んだ。
 気絶しているから、いつもの水薬は飲ませられない。それにこのままだと心臓に負担がかかり過ぎて、挙句の果てはアリスの命さえも――マダム・ポンフリーはアリスの病態が危険だと分かると、校長先生を呼んでくると言って医務室を出て行った。

 震える手で汗を拭き、しっかりとアリスの手を握るコルウスに、リドルは思い切ってある提案をした。

「聖マンゴ魔法病院に連れて行こう!これ以上病態が酷くなる前に!」
「そんな金どこにあるって言うんだ!!癒者にかかるには莫大な金が要る!孤児の俺達には途方もない金額だ!!」

 金――やはりこの世は金なのか……金の持っている奴が幸せを手にし、金のない奴は指をくわえてただ見ているしか方法は無いのか。いや、方法ある。リドルの頭にある物が浮かんだ。

「少し待っていてくれ、金なら僕が用意する!」

 取り巻きの1人が持っていたあの懐中時計。あれさえ手に入ればアリスを癒者に診せることが出来る。リドルは駆け足で医務室を飛び出すと、教室へ向かった。

* * *

「……ん」
「アリス!目が覚めたか!?」
「……お兄、様?」
「待っていろ、今先生を呼んで薬をもらってくる」

 イスから立ち上がって医務室を出て行こうとしたコルウスのローブを、アリスが掴んだ。

「良いの、お兄様、もう良いの」

 弱弱しい声で、アリスが語りかけた。相変わらず青白い顔をして、脂汗をかき、瞼を半分閉じて、生気も感じられず、今にもあの世に逝きそうな雰囲気だ。
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