第8章 つかの間の愛
さわやかな柔軟剤のにおいがする。
本当に久しぶりに熟睡ができた。
布団からゆっくりと起き上がると、見たことのない部屋で寝ていた。隣には既に綺麗にたたまれた布団が置かれており、ちゃぶ台の上には綺麗な文字で書置きがしてあった。
『電子レンジの中に飯があるから食え』
「…土方さん、かな?」
あのあとの記憶がすっかりないのだが、途中で眠ってしまったのかもしれない。さすがに申し訳ない…。
せっかくなので、電子レンジの中に入っていたカツどんをおいしくいただきました。
なぜかとなりにマヨネーズがあったので冷蔵庫に入れておいた。
カチャカチャと丼を洗っていると、不思議と穏やかな気持ちになってきた。
静かなときの流れを感じて、再びうとうとしてきてしまった。
私はちゃぶ台にお礼の手紙をしたためている途中で寝てしまった。
がちゃ
扉が開き、ピカピカと電気がつけられた。
「あ、す・すみません、眠っていました…」
土方さんが入ってくるのと同時に私は目を覚ました。
「なんだ、あれからずっと寝てたのか?」
「いえ、一回起きたんですけど…その、カツどん食べたら、眠くなってしまいました…」
正直にそう言うと、土方さんはおかしそうに笑った。
「疲れてたんだろ、そのまま寝ちまえよ」
「そういうわけにも、いきませんよ。何日もお世話になるわけには…」