• テキストサイズ

赤い月(銀魂 神威)

第8章 つかの間の愛


次の日、クスリを乗せた武留会のトラックが真選組に取り囲まれ、大量の薬物が押収された。

武留会事務所のがさ入れが行われたが、春雨の関与はひとつも確認されなかった。




「てめぇ、何者だ?」

私の言ったとおり、武留会の密売ルートが発見されたため、しばらく拘留されることとなった。

「黙秘でwすみません」

土方さんによる詰問があったが、私もそれ以上は口がわれなかった。

そして、警視庁より私の釈放がすぐにされることとなった。




「いつか、絶対にお前の正体を暴いてやる」

釈放の日、土方さんが私にそう言ったので、

「…ははは、私もそっち側でそのせりふ、言いたかったですねぇ」

と言って笑顔でそう答え、踵を返し歩き出した。


はっきりとわかったことがある。

やっぱり私には海賊は向いてないってことだ。

神威を宇宙海賊王にしたいって夢は変わらずにあるけども。でも、そのために人々を苦しめることはできない、とはっきりとわかった。



だけど、今は、どこに向かったらいいのかわからない。

ぐるぐるとまた悩み始めていると、グイッと突然後ろから腕を掴まれた。

「何に苦しんで、何に耐えてんだ?お前は何を…」

「…黙秘です…」

このときやっと、自分が泣いていることに気づいた。

「あなたにも、守りたいものがあるように、私にもあるのです。でも、どうしても…できない…!」

悲痛な叫びだったと思う。

言った途端、土方さんに抱きしめられた。

「なんだか、よくわからねえけど。誰だかもしらねえけど。泣きながらふらふらされても困るんだよ」

会って数日しか経っていない、よくしらない人の胸の中でひとしきり泣かせていただいた。
/ 81ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp