第7章 胡蝶の夢
危なかった。
こんなところで目立ってボロを出したくない。
とにかく歌舞伎町のヤクザさんたちと会わないと。
以前も取引をしていた武留会というヤクザさんらしいのですが、ほんと、女性一人にこんなところこさせるなんて、ひどいお人ですよ。
とりあえず、武留会の事務所近くのコンビニでいつもの夜兎スタイルに変えた。
武留会では、かなりの好待遇をしてもらった。
広い和室で芸子さんが踊る中、刺身だのなんとか和牛だの次から次へとごちそうが出てきて、やくざさんたちは始終愛想笑い。
(そういえば、誰かヤクザさんたちもビジネスマンだって言ってたなぁ)
そんなことを思いながら、新しいルートを相談したり、値段についても相談した。
ハンバーガーを包むような紙に包んだブツを1つ渡した。
これだけで時価数百万はくだらないそうだ。いい商売ですよ、ほんと。
いまさらながら、私って完全に犯罪者なんだなぁとしみじみ思った。
新しいルートは、だいたんにコスモターミナル(空港)を利用することにした。
以前、東京湾(と、呼ぶかどうかは知らないけど)近郊に春雨の宇宙船を停めてそこからトラックで運んでいたのだが(さすがに露骨過ぎたんだと思う)、今回は春雨の権力を利用してこっそり空輸することにしました。
表向きはほかの惑星の輸送便、中身はまあ真っ白い粉を大量に、ということで。
ルートを確保するまでが私の役目。
あと倉庫の手配はあちらさんの役目なので、とりあえずうまくことが進むかどうかを確認することにした。
ブツの空輸はうまく行っている。
薬物は簡単に手に入るようになり、低価格化され、結果、短期間で江戸中で薬物が蔓延した。
ここにきて、春雨の狙いはここにあったのかな、と気づき、罪の意識にさいなまれた。