第7章 胡蝶の夢
私は一人で地球へとやってきた。
一番栄えているのがこの江戸の町である。
「やっぱり異世界なんだなぁ」
宇宙船が飛び交い、町中にはサムライが行き交う。
私も目立たないように街娘の格好に変身したが、とにかく動きにくい。
「これ、いざとなったら走ったり飛んだりできなそう…」
そう思いながらすり足で一生懸命あるいていると、
「邪魔なんだよ下等生物が!」
一際大きな声を聞いて振り返ると、そこにはトカゲのような宇宙人が地球人を突き飛ばして踏み潰している。
街の人々は、目をあわさないように早足で歩き去って行く。
この異世界の地球も、宇宙人に蹂躙されて屈服してしまったんだ…、と思って悲しくなった。
しかし、その踏み潰されていた少年は、宇宙人の足を掴み、
「余所見をしていたのはそっちでしょう!こっちはただの被害者です!」
とはっきりと言った。
めがねをかけた小柄な少年だったけど、強いまなざしをしていた。
「なんだと、地球人。下等生物は下等生物らしく、毎日『生きてて申し訳ありません』と思いながら生きて行くんだな!」
そう言ってその宇宙人はさらに足に力をこめて行く。
あ、だめだ。もう我慢できない。
「宇宙人のおにいさん。暴力はよくありません」
そう言ってトカゲ宇宙人の肩を掴んだ。
「あ~?なんだ女!俺は今最高に機嫌が悪いんだよ!胸糞わるい」
そう言って私の手を振り払った。
着慣れない服だったためふらついてしまった。
すると、その私を支えるように抱きとめてくれる人がいた。
白い着物を着た銀髪の男性だった。