第7章 胡蝶の夢
「ハシモトの手引きで、逃げた者が多数いると思うのですが、どう思いますか?」
「多分な。捕まえた連中、途中から見つけるのちょろかったぜぇ。つかまったらつかまったで、獄中で服毒自殺しやがった。どっから毒なんて手に入れたかしらねえが…。自殺かどうかも真実は闇の中だな。
なんにしろアイツはとりあえずいろいろ保留だ」
阿伏兎と中華料理屋で餃子をつつきつつ、今回の報告会をする。
この星を治めるのは難しい。ハシモトの存在はとにかく大きく、不気味だ。
ただ今回、少しだけ成果があったと言えば…
「あら、また昼間っから飲んでるのかい!いい若いもんが、だめだねぇ!」
餃子を運んできてくれたおばちゃんが、腰でどついてきた。
「あう!すみません!」
「ww」
そのパワーに思わず謝ってしまった。悲しき日本人の血。
「体にいいお茶、入れてあげるからときどきは休ませなよ、肝臓!」
そう言っておばちゃんはお店の奥へ消えた。
こんな私たちは少しずつ、街の人たちに受け入れられつつあった。強い者と戦う以外に基本的におおらかな夜兎族の気質が、徐々に伝わってきたようで。
それだけは本当に嬉しい。
本当に、団長が宇宙海賊王になって、世界が平和になればいいなと、海賊のくせにそんな夢を見た。