第6章 特別編
砂漠の中に、線路が見えた。
それに沿ってジープを走らせること2時間。
目指していた駅オアシスが見えてきた。
200坪~300坪そこらの土地に、やしの木が生えていたり、背の低い植物が生えていて、いかにもオアシスといった感じである。
その中へ車を進めると、今までの強い日差しと一変して、涼しくて気持ちがいい。
「うわぁ…日陰ってありがてぇ」
私はしみじみとそう言うと、前の席でふっと高杉さんが笑った。
うーん。なんか調子狂うなぁ…。
基本的に団長も阿伏兎もこういうの無視だからなぁ…。
もじもじしていると、「なんスかなんスか!」とピンクなおねえちゃんがやきもちを焼き始めたので、
「いやぁ。すみません、こういう反応いつもされないんでね…」
と正直に言っておいた。
まもなく小さな駅に着いた。
田舎の無人駅みたいな駅。そこそこ小奇麗になっている。
「ここで約束しているでござる」
と万斉さんは言って車のエンジンを止めた。
「俺はここにいるから、おめえら時間まで好きにしてな」
高杉さんはそう言ってぼんやり景色を眺めながらキセルをふかし始めた。
見かけによらず、のんびりしたマイペースなリーダーだなぁと思った。
「何言ってるッスか、晋助様!私はいつもいっしょッスよ!!!」
とまた子さんが言っているので、私は少しオアシス内を散歩しに行くことにした。
「ああ、じゃあ拙者も」
万斉さんがついて来て、
「私は少し駅の中を見てきます」
と武市さんは駅の中に消えた。