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赤い月(銀魂 神威)

第1章 プロローグ


神威に『宇宙海賊 春雨』に入れられたその日から激しい修業が始まった。

しかし、私は阿伏兎以外には私が夜兎でないことは秘密なため、この修行も極秘。

修業の相手はたいてい阿伏兎だった。

理由は簡単である。神威は手加減できないから。

「まずは基礎体力からだね」

ということで走りこみとかスクワットとか部活かよ的な修業をやっている。

そのため連日筋肉痛だった。

そんなことを何日続けただろう。

修業を終え、あまりの体の痛みで部屋でうつぶせで寝ているとノックの音がした。

ノックをして入ってくるのは阿伏兎しかいない。

「なんですか?」

答えれば、いつもより険しい表情で部屋に入ってきた。

「…お嬢ちゃんの存在が上にまで知れた」

「上?」

上官とか、そういう存在かな?

「それがどうかしたんですか?」

「…おそらく、任務に出ることになるだろうな」


任務…?

あの、星とか一個つぶしたりとかしちゃうやつ?

私はあの惨状を思い出して体中がこわばった。

「いや、俺がまだ戦場に出たことがない夜兎だからとは伝えたからそう重いのはこない。…来たとしても俺たちどっちかと同行での任務になるだろうよ」

「はぁ」

重いってどの程度のことなのかな。

私は痛む両腕に力を込めて上半身を起こして阿伏兎を見ると、見慣れない緑色の細い傘を持っていた。

「それ…」

「お嬢ちゃんの傘だ」

そう言って渡された。

普通の傘とは明らかに重さが違う。「武器」だと感じる。

珍しそうにひっくり返したり広げたりして眺めていると阿伏兎は静かに言った。

「それを振るうときはよく考えろよ。

 あんたがそれを振るったら…もう後には戻れない。振るったが最後夜兎として生きるんだと心得ることだな」

その言葉を聞いた瞬間、いきなりその傘は重さを増したように感じた。

「…と、ここまでは団長からのお言葉だ。

 俺からは…ま、何も考えずにとりあえず寝ておけ」

そう言って阿伏兎は私の後頭部を押さえつけたのでそのまま枕に顔から突っ込んだ。

「何も…考えるなよ」

そう言い残して阿伏兎は部屋から出て行った。その手には何やら紙が握られていたがよく見えなかった。

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