第6章 特別編
今回の私の使命は高杉一行の護衛。
どうやら、以前この惑星で何か問題を起こしたらしく、命を狙われているそうだ。
でもさ、この人たち、強そうなんだけど…私よりもはるかに。侍が三人もいるもの。
そう思うとちょっと居心地の悪いものだ。
「駅オアシスが見えてきたでござる」
「あそこに砂漠商人がいるわけっすね」
また子さんが少し身を乗り出して言った。
砂漠を走る線路、数キロごとに駅がある。
少し前に大規模なハイジャックがあったそうで、鉄道は全面停止されている。
そして今、駅と駅の間にはこうして車を走らせる以外に便がない。
だから、闇商人は日常雑貨等を高値で売買したりと暗躍しているのだろう。
あまりこの一行の活動については詳しく知らないのだが、その商人と関わると言うことは…まあヤヴァい仕事なんだろうね。
護衛が仕事の場合、雇い主のことをあまり聞かないのがマナーみたいになっているので、詳しくは分からないし推測しかできないけれど。
「ハイジャックなんて、物騒なところですね」
ぼそりとつぶやくと、一瞬車中に沈黙が走り、急に高杉さんが笑い始めた。
「…ええ、まったくですね」
武市先輩が棒読みで答えてくれた。
なんかおかしなこと言ったかな。
「おめえ、夜兎のくせに育ちがいいだろ」
「え?なんのことですか?」
「読みはいいんだがな。
しかし、あちらさんはずいぶんと…過保護だな。夜兎の意外な生態だ」
くすくすと笑う高杉さんもなかなか上品に見える。口調が悪いわりに、あんたこそ育ちがいいだろう。