第6章 特別編
!!!???
な、何!?
思わず私も万斉さんに軽く笑いかけると、彼はうれしそうに話しだした。
「そう、そうでござる。
左利きの者を少しでも快適にするために、拙者は考えたでござるよ!
『カラオケ左利き専用マイク』!!!」
キーーーーン
突然マイクをONにされ大音響で万斉さんは叫ぶ。
「これで音楽業界の寒気団を吹き飛ばすでござる!」
「…万斉さん。ところであなたのご職業は?」
「兼業攘夷浪士でござる」
「それって兼業していいんですか」
「兼業したら切腹って言われれば辞めるでござるよ。気が向いたほうを」
そう言って万斉さんはにやりと笑った。
こいつは…サムライ界のヤンキーかな。
そんなことを考えて、あまり刺激をしないようにしようと思い、私もひきつった笑いを万斉さんへと向けた。
「なんか後ろのほうにぎやかッスね。あれは…万斉と夜兎の娘ッス」
また子は背もたれに首をひっかけて後ろの様子を見る。
「なんだー、万斉先輩すっごく楽しそうっすね」
「普段ろくに話し相手がいねえからだろ」
窓の景色を見ながら、高杉は言う。
「夜兎…か。
武市、どう思う。あれ一人いればかなりの戦力になるんじゃねえか?」
「誘拐しますか?」
「機会があればな」
窓の外に映る大船団を見ながら高杉はどす黒い笑いを浮かべていた。