第6章 特別編
「左利きの者は右利きの者よりも寿命が短いと言われているらしい。なぜだと思う?」
宇宙客船の中、私は万斉さんと席が隣になった。
重苦しい沈黙の旅になりそうだと思っていたが、意外にもその沈黙は長くは続かなかった。
小さな三味線をポーンと弾きながら、彼はぼそりとつぶやいた。
独り言かと思ったが、聞き耳を立ててみれば私への質問だった。
「え!?
…なんでですか!?」
気のきいたことも言えず、私はただ聞き返すことしかできなかった。不意打ちだったし、そんなこと考えたこともなかったし!
「…左利きの者のほうが右利きの者よりも何かと不便なことが多く、ストレスを感じる。
それが原因だと考えられているでござる」
「ほおお…そうなんですか」
右利きだから分からなかったけれど、言われてみれば確かに左利きの人にはストレスが多くかかるかもね。
彼の話にも感心したけれども、何よりこの人のミステリアスな雰囲気が面白く感じた。
今までにないタイプだー。と少しテンションが上がった。…まあ団長もいろんな意味でミステリアスだけど、あれは怖いミステリアス。これは怖くないミステリアスなの!
そんなことを考えながら一人でにやにやしていると、万斉さんは急にこちらを向くと、にこーーーーっとこちらに笑って見せた。