第4章 決断の時
船が来るまで早くても2日。
彼女にはそんな時間は残されていなかった。
『那美は、馬鹿だ…』
『ああ…』
二人はただ、静かに死に向かう彼女を見ているしかない。
そんなこと今までになかった。
自分のその手は生あるものの命を奪うことができても、こうして死に向かうものを救うことはできない。
嫌がおうにもそんなことを考えさせられた。
『本当に…馬鹿だ』
そう言った神威はゆっくりと那美をソファに寝かせ、惑星Dのシャッターの前に向かった。
『どこに行くんすか?』
『船を探しに行く』
『無駄だ、団長! 船はもう全部探しつくした』
阿伏兎の指さす飛行場には1つも船は残されていなかった。
『だったら俺たちの乗ってきた船を直す』
そんな言い合いをしていると、近くでズズン…という地響きが聞こえた。
神威は急いで那美のもとへ行き、阿伏兎は音のしたほう…惑星Cの船着き場まで走った。