第4章 決断の時
宇宙船を飛び越え惑星Fを抜ける。
「…阿伏兎、とりあえず惑星Fは抜けた」
『了解』
その瞬間、すぐ後ろのシャッターがガラガラと閉まる。
「助けてくれー! 酸素ボンベ…!」
酸素ボンベを狙って夜原の連中が那美に手を伸ばしてくる。
神威はそれをのしながら進む。
…俺達だけをここで殺すためにこの星と部下を捨てたのか
神威はこの現状からそう悟った。
そして惑星Cに入ろうかというその通路で、酸素ボンベをした一人の少年を見つけた。
するとその少年は酸素ボンベをつかみ取り、
「神威! やっぱり生きていたか!」
神威はその少年を見た途端、ここで何が起きたのかすぐに理解できた。
ああ、やっぱり那美だなぁ
そんなことを思いながら少年と向き合った。
「何? 何か用?」
神威はたいして興味をもたずに冷たく答えた。
「…やっぱり、そんなあまっちょろい奴にやられるわけないと思ったんだ! 犬以下だよそいつ!」
少年はそう言って立ち上がり、傘を拾い上げようとした瞬間、神威から脇腹にこぶしを喰らった。
「那美が君より弱い? 犬以下?
何も知らないガキはやだね。那美は強いよ、俺が認めてるんだから…て聞こえてないか」
ドサ、と倒れた少年に神威はそう言って再び惑星Cへと走り出した。
「阿伏兎、惑星Cに入った」
『了解』
そう言った瞬間シャッターは、閉まりあの重苦しい空気が薄くなったような気がする。
「団長、ボンベを」
そう言って阿伏兎は神威に酸素ボンベを渡した。
神威は素早く酸素ボンベをつけた。
『あといくつある?』
『300はあります。春雨の船が来るまではなんとかなると思います。…思いますが…』
そう言って阿伏兎は那美を見た。
もう虫の息と言ってもいい。
一刻も早く治療しなければ確実に死ぬ。