第4章 決断の時
「那美、…那美」
遠くで神威の呼ぶ声がする。しかしそれに答えるだけの力はもうなかった。
『団長?』
神威は那美の手の中にある四角い電子板から阿伏兎の声がすることに気づいた。
「阿伏兎? 毒ガスって何? 那美はどうしてこんなにボロボロなの? 一個しか酸素ボンベ持ってないし」
『は? そんなはずないんだけど…あ。まさか…』
「何?」
『いいえ。なんでもないデス。 とにかくそこから一刻も早く出て…その電子板の地図を見ながらこっちまで来てください。
そんで惑星Dを出たら連絡ください、シャッターしめるんで』
「…わかった」
そう言って神威は画面を切り替えて地図にした。するとこの惑星FGだけが真っ赤に塗られていた。
毒ガスの濃度を意味するのだろうか
そんなことを考えながら、神威は那美を見た。
息はあるがだいぶ毒を吸っているように見える。
加えて脇腹の傷は深い。自分の一撃のほかにも、相当強い攻撃を何発も受けているようだ。
そんなことを考えながら、神威は自然と那美に酸素ボンベを着け、担ぎあげた。