第4章 決断の時
ゴウゴウと音を立てて燃えていた宇宙船は、だいぶ火の勢いは衰えていたが、シェルターを開けた痕跡はない。
神威は毒を吸ってはいないようだ。
私は安堵のため息をついた。
私は思いっきりシェルターのドアに向かって傘を投げつけた。
すごい音を立てて傘はシェルターの壁を押し壊した。
「びっくりした〜」
神威はそう言ったが、私が入ってくるその姿を見て絶句した。
「誰にやられたの?」
私は、まさにボロボロだったのだ。
あの少年との一戦。
途中から私はあの少年に攻撃することができなくなった。
傘を振り上げれば簡単に攻撃は入る。しかしその少年は腕も折られあちこち血だらけなのである。
そんな少年に攻撃を加えることなど私にはできなかった。
そして防戦一方になった私の姿が今、神威を驚かせている。
「…団長、…外は毒ガスが充満しています。これを」
私はそう言って神威に酸素ボンベを渡した。
神威は、
「那美のは?」
と聞いて、眉をひそめたが、そのあとハッとした顔をした。
いつもと呼び方が違うことに気づいたからだ。
「那美…?」
「…団長、酸素が足りなくなりますので、早く…惑星Cへ…」
私はそれだけ言ってその場に崩れ落ちてしまった。
意識はあるんだかないんだかはっきりしない。