第4章 決断の時
私は来たとき以上に猛ダッシュで惑星CとDの間の通路を走っていると急に嫌な予感がして飛びのいた。
すると横から蹴りを繰り出された。
なんとかよけることができた。
その人物は先ほどの男の子だった。
「待てよ…舐めやがって…」
男の子はふらふらだった。左腕をかばっている。どうやら阿伏兎に相当きついお灸を据えられたらしい。
男の子はそれでも傘を握りしめ私の前に立ちふさがる。
「退いて!」
「退かしたきゃ殺して行けよ!」
そう言って男の子は傘を構え突きを繰り出してきた。
私は避けようとしたが、酸素ボンベを持っていることをすっかり忘れていて、その重さで動きが鈍くなった。
脇腹に突きを喰らい吹っ飛ぶ。
神威に喰らった攻撃の傷が開いたようだ。
私は思いっきり壁にたたきつかれながらも酸素ボンベをかばう。
このままでは殺される。
そして、神威も手遅れになってしまう。
阿伏兎を呼びに行く時間もない。
私はここで、
覚悟を決めた
酸素ボンベをゆっくり下ろし、背中に隠した傘をスルスルと引き抜いた。
こちらに走り寄っていた男の子は急ブレーキをかけたように立ち止まり、みるみるその顔は歓喜に満ちていった。
「お前がもう一人の夜兎だったのか! 神威を殺した夜兎!!」
きゃーっと高く叫んで少年は再び地面を蹴った。
「…いきます…!」
私もまた傘を構え、地面を蹴った。