第4章 決断の時
私たちはオレンジ色の廊下をもうダッシュする。
若干阿伏兎が前を走っているような気がするのはご愛嬌。
「思った通り惑星C近くてよかった」
私はそう言いながらたまに阿伏兎のロープを引く。
「ぐえ。
おいおい、お嬢、Sにめざめちゃったか?」
「うーふーふー・・・ていうか先行かないでくださいよ、ばれますって」
「お嬢がもっと早く走ればいいんじゃない」
そういって阿伏兎が意地悪に笑ったもんだから、私は猛ダッシュ。
ビーンとロープが伸びる。
「うが!ぐるし・・・」
そんなことをやりながら走り続けること数分。
やっと惑星Dの出口までやってきた。
しかし、惑星CとDの通路の真ん中に男の子が立っていた。
「あの、ちょっとそこどいてもらえる?」
私が男の子に近づきながら言うと、不意に後ろから阿伏兎にロープを引っ張られた。
そのおかげで私は、その少年の繰り出した一撃をギリギリで避けることができた。
「な、なにを・・・」
「お前、神威やっつけたんだろ?強いんだろ?」
まだ煙を上げている壁から引き抜いた武器は、なんと傘だった。
「俺と、戦えよ」
男の子は笑いながら私に言った。
夜兎だ。
「な、・・・そんな暇ないよ!
この惑星はまもなく毒ガスに・・・あ!」
私が説明している間に、夜兎の男の子は再び攻撃を繰り出してきた。
今度は自力で避けられた。
「戦えよ!」
「もう! 夜兎ってみんなこうなの!? 毒ガスとか関係ないわけ?」
と私は阿伏兎を見ながら繰り出される攻撃を避けていると、
「まあ・・・夜兎ならこうなるわな」
と阿伏兎はぼやき、つながられていたロープを自ら引きちぎった。
「おい、坊主。
その子と戦いたければ、まず俺が相手になるぜぇ」
阿伏兎は、男の子の顔面をつかんで壁に向かって押し付けた。
爆音が響き渡る。
「お嬢、先に行ってボスってやつの行動を止めて来い。
俺もここ片付けたらすぐ行くわ」
阿伏兎はそう言って首を左右にゆっくり傾けた。
「う、うん! おねがいしますね、阿伏兎!」
私はそういって惑星Cへと走り出す。
「どけよ、おっさん!」
「・・・最近共食いばっかりだねぇ」
そう言って阿伏兎は傘も持たずに、向かってくる男の子と向かい合った。