第4章 決断の時
私は阿伏兎が何かを言う前に扉を開けた。
「ノックもなしに失礼します!
この通り夜兎は一人捕らえましたし神威のほうは業火に焼かれ死んだと思われます。残りは一人、その一人のために毒ガスを散布するんですか」
「あぉ!」
ビーンと阿伏兎のロープが伸びる。
「おお、捕らえたか。
さすが我が夜原の精鋭。
・・・ボスもおかしな商人にほだされて頭がおかしくなられたようだ」
ツーツーとむなしく鳴る電話を戻すと、その幹部らしき男は私に言った。
「その夜兎を連れて、惑星Cに向かってくれ。
そしてボスを止めてくれ、頼む」
そう言って、幹部の男は私に手のひらサイズの電子板を渡した。
そこにはこの惑星全体の地図が線のように描かれている。
・・・らっきー♪
阿伏兎は小さく口笛を吹いた。
聞こえるよ、阿伏兎。
私は一度強くロープを引っ張った。
「この電子板があれば、どこに毒ガスが散布されたか一目で分かるようになっている。・・・頼んだぞ」
そう言って幹部は足早に部屋を出て行った。
「夜原の頭はなかなか賢いやつだねぇ」
電子板を眺めながら阿伏兎が言った。
「そんなこと言ってる場合じゃないですよ、ボスをとめなきゃ」
「・・・ボスって、お嬢の上司は団長・・・」
「惑星Cに言って、夜兎は捕まえられるって証明しなきゃ!」
私がそういって立ち上がると、阿伏兎が頭をかきながらぼやいた。
「・・・うーん・・・なんか本来の目的忘れてるような気が・・・。
はぁ。俺しばらくこのままかよ・・・」