第3章 夜原掃討戦
そうこうしているうちに私の応急処置は終わり、なんとか歩けるくらいにはなった。
「さすが阿伏兎様♪」
にっこり言うと
「そ~~だろぅ~~~やっぱり人生の経験者はちがうだろ~~~」
と言った。
え?骨折的な先輩?
「…あ、神威はどうなりましたか?」
一生懸命辺りを見渡しても神威の姿はなかった。
どうやらたくさんあった中の手すりつきの窓の1つを突き破った場所らしい。
もう一度阿伏兎を見ると、窓の外を指さした。
私は折れまがった手すりを身を乗り出してみてみた。
するとそこにはゴゥゴゥと燃える宇宙船が。
「助けにいかないと!???」
「いや、これ以上近づくな。やつらは周りに地雷も置いている」
「…もう手遅れですか?」
相当責任を感じるのですが。殺されはぐったけど、私は私でいろいろごまかしてたわけで。
「いんや、中央ホールにいるみたいだから…命に別条はないよ。ただ炎が収まるまであそこから出られない」
あ、そっか。中央ホールはシェルター造りだったもんなァ。
よかったぁ、と安心する私を阿伏兎は複雑な表情で見ていた。
燃え盛る宇宙船の中から、神威は那美と那美の傘を阿伏兎に投げてよこした。
「じゃぁ、団長。あとは手はず通りで…いいでしょ?」
「ああ…かまわないよ。
…ふっふっふふふふ。すごいよ、すごいよ那美!」
炎の中、神威は確かにそう言っていた。
この炎はまるであの人そのものだと思った。
「あ~ぁ逆転満塁ホームランはどこにいっちゃったのかねぇ…」