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赤い月(銀魂 神威)

第3章 夜原掃討戦


「何をしてるの?って聞いてるんだけど」

私はゆっくり振り返りながらも神威の顔を見ることはできなかった。

「…さきほど採用された通り、敵から服を奪っておりました」

「…じゃあどうして傘を振わなかったの?」

もとにいた場所に置きっぱなしになっている傘をさして神威はやさしい声で聞いてくる。

恐怖でぞわっと体中の毛がよだつ。

「傘を振う必要を感じなかったの、で!!?」

私が言い終える前に神威は私の傘で縛り上げていた敵を一掃してしまった。

ビチャと私の頬にその血がかかる。

一瞬吐き気を覚えたが、なんとか顔に出さずに神威に向き直る。

「…簡単なことじゃないか。なんで傘を振わない?」

表情はおだやかそのもの。でも語調が少し強くなったように感じる。

私にはその質問にどう答えるべきかわからなかった。

神威をじっと見たまま黙っていると、神威は私の足元に傘を投げてよこした。

「ここで傘を振わなきゃ殺す。

 …失望させないでよ」

そう言って神威は傘を構えた。

私は足元にあるそれを眼だけで見ながら考えた。




『夜兎としていきるか…



    人として死ぬのか』



「そっちからこないなら俺から行くよ!」

そう言って神威は地面を蹴った。

私は傘を思いっきり蹴っ飛ばして神威にぶつけ、そのまま転がってテーブルの陰に入った。

神威の一撃は喰らわずに済んだが飛び散った破片が体中に突きささる。

でも痛みなんて感じてる暇はない。

すぐさま次の攻撃が繰り出された。

私はテーブルごと吹っ飛ばされ壁に激突した。

今度はあまりの痛みにその場にうずくまる。


折れた折れた、これ絶対折れてる。

そうしている間にも神威はゆっくりとこちらに向かってくる。
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