第2章 ちぐはぐな街
私たちが第8シェルターに入ると町は大騒ぎになった。
そして、私たちの通る道を不自然なくらいスーッと、まるで引き潮のように開けていく。
その町人の目には恐怖と憎悪を感じる。
「…辛いか?」
私の後ろを歩く阿伏兎が聞いてきた。
「いいえ」
なんかものすごく客観的にこの図を見てしまう自分がいる。
現実感がわかず、ボーっと直線上先にあるガラスの塔を見ながら答えた。
「俺たち夜兎はこういうのは常に付きまとうからね」
前を歩く神威がそう言った。
『俺たち夜兎』。
その言葉がものすごく悲しく響いた。
夜兎じゃない!という否定したい意味ではなく、まだ夜兎になりきっていない罪悪感…だろうか。自分でもよくわからない。
「ま、ボクたち宇宙海賊だしぃ。盗賊から町を助けに来たヒーローじゃないもんね」
そういえばそうでしたね。