第1章 空焦がれ、忍び愛
「兄貴…!幾ら何でもそれは言い過ぎだろ!」
「いや…いいんだイザベル。リヴァイ、俺が軽はずみな事を言ったのは謝る。でもな、俺達は仲間なんだぜ…?お前らがいくら血の繋がった家族でも、俺らにも知る権利がある。…リヴァイ、お前俺らに何か隠してないか?」
「…これは俺達の問題だ。お前が割って入っていい問題じゃねぇ。」
「…っ!あぁそうかよ…。」
ファーランはずっと以前から、リヴァイが何かを背負っているように感じていた。
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そんな空気の中、貴族であるニコラス・ロヴォフから依頼が届いた。
〝極秘書類を入手すれば、王都での生活を保証する〟
調査兵団の団長、エルヴィン・スミスがその書類を所持しているとの事だった。
「書類?そんな大事なものなら肌身離さず持ってるんじゃない?」
「そうなればエルヴィンって奴を殺して奪うまでだ。」
「あぁ、でも下手に動くと危険だ。とりあえず今は、リヴァイの言う通り慎重に動こう。」
四人は地上で作られた飛行装置を装備していた。
このゴミ溜めから少しでも浮く為に、憲兵から盗んだ立体起動装置。
イザベルやファーランに比べ、リヴァイとリリーの装置の扱いは人間離れしていた。
今まで通りにしてろ
何かあれば、こいつで逃げればいい
そう慎重に動いていた四人だったが、イザベルとファーランは呆気なく調査兵に捕まってしまった。
「チックショー!!」
「リヴァイッ!リリー!」
リヴァイとリリーはまだ拘束されず立ち向かっていたが、拘束された二人を見てナイフを下ろすしかなかった。
「状況判断は早いみたいだな。」
全員手錠を掛けられ、拘束される。
「この装置をどこで手に入れ、誰に学んだ?兵団で訓練をしていたのか?」
「………。」
いつまで経っても応えようとしないリヴァイの頭を、一人の調査兵の男が泥水に突っ込んだ。
「……ッ!!」
「もう一度聞こう。立体起動をどこで…」
その瞬間、リリーが地面に倒れ込んだ。
急な発作が起きたのだ。
「リリー!!」
「おい!!大丈夫か?!」
「クソッ…手錠を除けろ!!こいつは持病があるんだ!」
「お兄…ごめ……。」
リリーは意識を手放した。