第1章 空焦がれ、忍び愛
「コニー!サシャ!ミカサァ!!そう言う問題じゃねぇんだよ!!くそっ…!全部台無しじゃねぇか…!」
タダならぬ空気のリヴァイからリリーを助けようと思ったジャンだったが、メンバーのアホさに頭を抱えるのだった。
メンバーなりに止めようとしてくれているのは分かったが、完全に素直な気持ちが言葉に出てきてしまっている。
リリーは自分のつけられたイメージに苦笑するしかなかった。
「サシャ、極悪非道って酷いからね。私は大丈夫だよ、兵長はこう見えて優しいから。」
〝兵長″
リリーがそれを言った瞬間、リヴァイの中で何かがプツンと切れた。
「あぁ、俺は優しいからな。冗談だ。リリー、今後の動きついて話がある。ちょっと抜けれるか?」
「うん、それなら大丈夫だよ。皆、先にご飯食べてて。」
「良かった…了解しました!」
「了解!」
ジャンはホッと胸を撫で下ろした。
先程話していた場所にもう一度戻るリヴァイとリリー。
リヴァイに背を向け、星空を見ながらリリーは口を開いた。
「…何?怒ってるの?」
「あぁ。上司への口の利き方がなってねぇからな。」
「…はぁー…。お兄は忘れてるかもしれないけど…今日はお兄の誕生日だよ?せっかく皆でサプライズしようと思ってたのに、さっきので全部台無しじゃん!」
「おいおい、言わねぇって言った側から言ってんじゃねぇか。サプライズなんてどうでもいいだろ。俺はもうお前の兄貴でも家族でも何でもねぇ。
…元より、お前を妹と思った事は一度も無ぇしな。」
リヴァイはリリーの傷付く言葉を一つ一つ選び抜き、小さな背中に向け言い放つ。
だが、妹と思った事が無いのは事実だ。
何年も前から、一人の女性としてリリーを見ている。
リヴァイはリリーを愛していた。
嫌われてもいい。拒絶されようが、リリーが兄だと認識していようが、リヴァイはもうリリーを離す事など出来なかった。
この関係が壊れてリリーが側に居なくなるぐらいなら、最後までグシャグシャに壊せばいい。