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狂愛-BLACK LOVER-

第3章 会いたくて


「大丈夫...!今日は、一人で帰れるから」

これ以上迷惑掛けたくなくて、私は自力で立ち上がろうとした。
...足に力が入らない。

「たった今襲われといて何言ってんだよ!...しょうがねーヤツだな」

そう言うとミズキ君は、私を横に抱きかかえた。
...所謂お姫様抱っこだ。

「え!?ちょっとミズキ君!!私歩けるよっ...!」

顔から火が出そうな程赤くなった私は、ミズキ君のTシャツをぎゅっと掴んだ。

「うるせぇ。大人しくしてろ」

平気な顔でその場を後にしたミズキ君は、駅とは反対方向に歩いていく。

「えっ、ミズキ君...?何処に向かってるの?」

「俺ん家」

私は耳を疑った。

「え?」

「だから、俺ん家。何度も言わせんな」

頭の中はもうパニックだ。

「そ、そそそそそそんなダメだよ行けないよ私!!」

さっきまで動かなかった手足に力が入り、バタバタと暴れた。

「チッ、暴れんな。さっきまでピーピー泣いてたガキンチョはどこ行ったんだよ」

ニヤリと笑う金の瞳と目が合って、私は慌てて逸らしてしまった。

「ガキンチョって...一個しか変わらないのに」

膨れる私を他所に、ミズキ君は家への帰路を進んでいく。

「...助けてくれて、ありがと」

「あ?」

「助けてくれてありがとう...!あと、お店でのことは、その...ごめんね...?」

何も返事がないことに不安になった私は、チラッとミズキ君を見上げた。

急に立ち止まりそっぽを向いたミズキ君は、何やらモゴモゴ言っている。

「え?なんて言ったの?」

勢いよくこっちを向いたミズキ君の顔は、茹でダコみたいに真っ赤だった。

「だから!!お前はそーゆーのがズリぃんだって言ってんだよ!」

ズルい?何が?どうして怒ってるの...??
私の頭にハテナが浮かぶ。

「いいからもう喋んな!...着いたぜ」

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