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狂愛-BLACK LOVER-

第3章 会いたくて


「ウチのシマで暴れんのもいい加減にしろや!!」
「きゃ...!!」

背後から仲間の男がミズキ君の脇腹へ蹴りを入れた。
ぐっ...!!という歯をくいしばる声が聞こえる。

私は泣きながら男の体へしがみ付いたが、簡単に振り払われてしまった。

「スターレスが出来てからこの辺は商売上がったりなんだ...邪魔なんだよ!!」

2本目の蹴りが飛んできた瞬間、ミズキ君は振り返る事もなく後ろ蹴りを鳩尾に食らわせた。

「...テメェ誰に向かって蹴り入れてんだ?テメェらのシマだと?ハッ、上等じゃねぇか。荒らしまくって二度と商売出来ねーようにしてやんよ」

既に伸びている男二人へ、冷たい金色の視線が降り注ぐ。

指をポキポキと鳴らす仕草は相手を震え上がらせるのには十分だった。

「元路地裏の狂犬...こんなに強ぇのかよ...」
「んぐ...がはっ...もう勘弁してくれ...」

この通りだと土下座する男達の頭を踏みつけようとするミズキ君に、私は思わず抱き着いていた。

「ミズキ君っ!もう大丈夫だよ!...死んじゃうよ、この人達」

「あ?クズの一匹や二匹、死んだってどうってことねーだろ」

完全に理性を失っている。こんなに怖いミズキ君は初めてだ。

「スターレスで、トップになるんでしょ?何時か最高のパフォーマーになって世界へ行くんでしょ!?」

こっちを見てくれないミズキ君に、私は再び涙が溢れた。

「こんな所で人殺しなんて...自分を捨てるようなことしないで...!!」

抱き着く腕にめいいっぱいの力を込めた。
頭上からチッと舌打ちが聞こえる。

「おい舞美、...脇腹。クソいてぇ」

ハッとして慌てて離れると、尻もちをついてしまった。

金の瞳には光が宿り、ミズキ君は困った顔で笑う。

「ほんっと、お前と居ると調子狂うわ」

何時ものミズキ君だ...。
私は今日何度目かわからない涙を流した。

再び視線を男達へ移したミズキ君は、低い声で言い放つ。

「今日の事は上へ報告させて貰う。...二度とそのツラ見せんじゃねぇ」

男達は顔を上げることもせず、ただ震えながら額を地面へ押し付けていた。

腰が抜けてへたり込む私へ、ミズキ君は手を差し出す。

「ほら、行くぞ」

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