刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第41章 神酒
そこには耳から首筋まで桃色に染まった肌の彼女が目を潤ませていた。
閨でしか目にすることがなかった熱に浮かされたような表情に目を見開き、燭台切が言っていた事は真実だと、大倶利伽羅は慌てて捲り上げた布を元に戻す。
欲に溺れていると一目でわかるこんな姿を、自分しか知らないこの表情を…もしやここにいる連中に見られたのか…
胸がざわつく…
ギリッと歯を食いしばった時、彼女の苦しそうな息遣いが大倶利伽羅の耳に届いた。
嫉妬している場合ではない。
「ッ!、部屋に連れていく…山姥切、借りてくぞ」
「ああ、構わない」
「伽羅ちゃん後は頼んだよっ」
抱きかかえ部屋に向かう途中、積極的に唇を絡ませてくる彼女に多少の戸惑いをみせるものの、必死に求めてくる恋人を拒む理由なんてなかった。
激しい口付けで足元は見えないが、何度も通い詰めた審神者部屋へ辿り着くのは大倶利伽羅にとって容易なことだった。
行儀が悪い!と某文系名刀に見られようものなら厄介な事になりかねないが、状況が状況なだけに、執務室の襖を足で開け閉めし中に入る。
その先にある部屋に着き、山姥切の布を取り払い布団にそっと寝かせると、切羽詰まった様子の彼女が大倶利伽羅の戦装束を脱がせようと手に掛けた。