刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第41章 神酒
ガチャガチャと戦装束から草摺が重なる音を鳴らして、大倶利伽羅さんがこちらに近付いてくるのが分かる。
同じ部隊の長谷部の何があったんだ!と焦ったような声も追いかけるように聞こえてくる。
熱くなる体と荒くなる呼吸を少しでも沈めようと懸命に息を整えていると、ふわりと大倶利伽羅さんの匂いに混じって血生臭いような匂いが鼻腔を擽った。
白い布を取り払われた視界に彼の姿が飛び込んでくる。
敵の、返り血だろうか…
大倶利伽羅さんの頬や首筋には砂汚れの他に少し血しぶきが付いているようだった。恐らく遠征先で時間遡行軍に遭遇したのだろう…
頑張って任務を遂行してくれていたのに無理やり帰還させてしまった。それでも、私を心配して駆けつけてくれた。
私の顔を見た途端、大倶利伽羅さんは目を見開き数秒固まった後、慌てた様子でまた布を被せた。欲情しているのが目に見えて分かったのだろう。
「ッ!、部屋に連れていく…山姥切、借りてくぞ」
「ああ、構わない」
「伽羅ちゃん後は頼んだよっ」
大倶利伽羅さんが私を国広くんの布ごとそっと抱き起こす。彼が触れることによって身体が異様に反応してしまうのを声を押し殺して懸命に耐えた。皆がいる、まだ我慢しなければいけない。