刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第41章 神酒
「ぬしさま…?」
その中でも小狐丸が敏感に感じ取ったらしく、ススス…と音もなく私の隣に近付いてきた。
小狐丸の頬は赤く染まっており呼吸も荒い。それでいて朱色の瞳が怪しく光っている。どこか正気をなくしているような瞳にこれはやばい…と私の中の本能が警告する。
「ぬしさまは…発情期を迎えておられるのかっ!…この匂いは確かに雌のそれ…ッ」
「ちょっと小狐丸くん!!」
「なんと艶のあるお姿…この小狐の出番のようですね!その熱を私が喜んで沈めて差し上げます!さあッ!狐と踊りましょうっ」
目にも留まらぬ速さで小狐丸が私を抱きかかえ連れ去ろうとしたところで、光忠が小狐丸を取り押さえ、それに続いて三条の刀達が一気に畳みかけ危機を脱した。今度は岩融さんが小狐丸を抱え連れて行く。
「っ、ぬしさま!申し訳ありません!野生ゆえ、野生ゆえ仕方がなかったのですっ!どうかお許し下されぇ…ッ」
正気に戻ったらしい小狐丸が抱えられながら必死に謝る。
そんな中、額に手が当てられた。ひやりとしていて気持ちが良い。
「大将?大丈夫だからな」
「や、薬研くんっ、助けて、変、変なのっ」
「落ち着け大将、俺っちが思うには…恐らくこれは一種の媚薬のような症状に近い」
「び、やく?」