刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第39章 へし切長谷部は見た!!
「…?どうしたの?」
「……今日は、…してくれないのか」
「ぁ…」
は?どういう事だ?
まさか大倶利伽羅は主に褒美をねだっているのか?
なんて図々しいやつだ!毎回あのような甘えた声で主に!?普段の大倶利伽羅からは想像が出来ないくらいの甘い音色に俺は喉をひくつかせる。
すると、…ちゅ、と可愛らしいリップ音が耳に届いた。
「お帰りなさい、伽羅ちゃん…」
どうやら主が大倶利伽羅に口吸いをしたようだ…するとまた…ちゅ、という音に続き「ただいま」という大倶利伽羅の声。今度は大倶利伽羅が主にしたのか…?
な、な、な!
う…う…羨ましい!!
…ガラッ
悔しさを胸に抱きながらその場で立ち竦んでしまっていると、執務室から出てきた大倶利伽羅が目を見開き、なんとも言えない表情をしながら小さく舌打ちしバツが悪そうに足早に去っていった。
どうも主に夢中で俺の気配に気付いていなかったらしい。気を緩めすぎだ大倶利伽羅…!
とはいうものの、立ち聞きしていた事を主に知られては俺の信頼に関わる。そんな事があってはならない、絶対にだ!
俺は大倶利伽羅の背中を見送った後、主が気付かぬ内に急いで自室に戻った。