刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第38章 夏祭り
「ああっ…いつの間にか落ちちゃってるっ」
「あんたが団扇であおるからだろう」
「だ、だって伽羅ちゃんがっ!絶対わざとだ…あーあ、負けちゃった!」
夏の暑さのせいもあるけど、大倶利伽羅さんと一緒だから…
彼のちょっとした一言で私はいとも簡単にときめいてしまう。顔全体がどうしようもなく赤い、と自覚する。
それから残りの線香花火を一本ずつ消化したけど、どういうわけか大倶利伽羅さんばかりが勝つ…
「ずるいっ!一回くらい勝たせてよ」
「あんたが下手なだけだ…」
「酷いっ!」
フーーッ、フーーッ!
「やった~!伽羅ちゃんの落ちた~!」
大倶利伽羅さんの線香花火に息を吹きかけ落とすと、大倶利伽羅さんは呆れるどころか肩を震わせ笑っている。そんな姿を見て幼稚なことをしている自分が恥ずかしくなった!
それに…なんだか私ばっかり振り回されていて悔しい。いつか大倶利伽羅さんの、その余裕を奪えたらいいのに…
「……終わっちゃったぁ…なんか寂しいけどそろそろ中入ろうか…?」
「今日はあんたの部屋で寝る」
「え?でも乱ちゃんが」
「乱なら粟田口部屋だ」
「そうなの?え?どうして?」
私の問いに大倶利伽羅さんはいたずら気な表情を浮かべた。