刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第38章 夏祭り
まさか?事前に大倶利伽羅さんが乱ちゃんに伝えていた?それともお祭りの夜だからって乱ちゃんが気を利かせてくれた?
どちらにしても一緒に寝るということは、つまり…そういうことだよね…?
火照っていた体が更にかあっと熱くなる。
期待していると思われたんじゃないかと恥ずかしくなり、またしても団扇で火照っている顔を勢いよく仰いだ。
「あれ?長谷部と宗三さん?」
部屋に戻る途中の縁側で二人の影が見え、近付くと珍しい組み合わせの二人がお酒を酌み交わしていた。
珍しいといっても元主が同じなのでそう珍しくもないのかも知れないけど。
「あ、主、宗三がどうしてもって言うんで付き合ってるんですよ」
「あら、あなたが寂しそうにしていたから仕方なく僕が付き合ってあげているんじゃないですか」
「なっ!俺は寂しそうになんてしていないっ」
「はいはい…そういう事にしておいてあげますよ」
「くそ!…主、良かったら主もご一緒、」
「全く、気が利かないですねあなたは…これからは恋人同士の時間でしょうに」
長谷部が私も一緒にと誘ってくれているみたいだったけど、宗三さんが遮り私に早く行きなさいと目で合図する。
大倶利伽羅さんは二人と言葉を交わすことなく、無言で私の手を引っ張り歩き出した。
振り向き様に宗三さんに頭を下げて大倶利伽羅さんの横に並ぶと、後ろから言い合っている二人の声。おかしくなってくすくすと笑いが込み上げた。
部屋に着いたらまずシャワーを浴びて汗を流したい。それからたまには大倶利伽羅さんと一緒にゆっくりお酒を飲むのも良いかもしれない。
それからそれから…
夏の夜は長い。
それに夜はまだ始まったばかり…。