刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第38章 夏祭り
楽しそうな喧騒を聞きながら暫く待っていると、手に救急箱を持って戻ってきた大倶利伽羅さんが私の前に腰を下ろし、そっと下駄を脱がせ絆創膏を貼ってくれた。
「何から何までありがとう」
「大したことはしていない」
「してるよ…あ、そうだ伽羅ちゃん、一緒に線香花火しない?」
「線香花火?」
頷いて、一袋だけお祭りで買った線香花火を袋から出して一本大倶利伽羅さんに手渡した。
「ここに火をつけると、小さいけど綺麗な火花が咲くの。どっちが長く持つか勝負ね!」
二人並んでしゃがみ、付属のマッチで互いの線香花火に同時に火をつけると、ふっくらとした火の玉が作られ、チリチリ…と小さい火花が飛び散りその火花はどんどん大きく激しくなる。
段々音と火花が小さくなっていく様を見つめていると「おい…」と大倶利伽羅さんの声が聞こえ顔を上げ振り向くと不意に口付けられた。
「…ッ」
突然の事に驚いてしまって線香花火を持つ手が揺れ動き、大倶利伽羅さんのと火花同士がくっついた。
大きく膨れ上がった火の玉はそのまま重力に逆らえず、ポトリと地面に落ちてジュッと音を立てた。
「ああっ、落ちちゃった!」
「落ちたな」
「もぅ!あと8本あるから4回戦ね!」