刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第38章 夏祭り
出来るだけ傷に触れないように気を付けて歩いているけど、履き慣れない下駄で出来た靴擦れはますばかり。
すると、大倶利伽羅さんが立ち止まった。
「足、痛いんだろう…」
大倶利伽羅さんは気付いてくれていたようで、背中を向けて私の前に屈む。
「い、いいの…?」
「構わない…そら」
申し訳なく思いながらも素直に背中に身を預けると、大倶利伽羅さんがゆっくり立ち上がり歩き出す。
「暑いね…」
「我慢しろ」
「うん、ありがとう」
思わず後ろからぎゅうっと抱き締めて首元に顔を埋めたら今度は大倶利伽羅さんに「暑い」と言われてしまった。
好きな人と同じ場所に帰れることがこんなにも幸せ…
恋仲になってから…これ以上好きになることはないだろうなって、それくらい大好きだったのに、大倶利伽羅さんを知れば知るほど今以上に彼を好きになっている自分がいる。
“恋焦がれる”とは正にこういうことを言うんだろう…
「少し待ってろ」
本丸に着き縁側に私を降ろした後、大倶利伽羅さんは広間のほうに消えていった。
お祭りから帰ってきた皆は広間やそれぞれの部屋でお酒を飲んでいるらしく、至る所からどんちゃん騒ぎが聞こえてくる。