刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第38章 夏祭り
「ち、ちがうっ」
急激に顔が熱くなり恥ずかしくて慌てて顔を逸らす。
なんかもうドキドキしっぱなしだ。
只でさえ軽装姿の大倶利伽羅さんが恰好良すぎてどうにかなってしまいそうなのに。
恋仲という関係になって半年は経つのに未だに彼に見つめられたり触れられるだけで、それ以上の事を何度もしているというのに心臓が忙しなく動く。
そしてその度に大倶利伽羅さんに、彼に心底惚れているということを実感してしまう。
うわの空で花火をみていると、ぐっと大倶利伽羅さんに引き寄せられて彼の肩にそっともたれ掛かる体勢になった。
トクンと心臓が揺れ動く。
大好き…
心の中でそっと呟き、より近くなった彼の体温を感じながら次々と打ち上げられる花火に見入っていると、あっという間に時間は過ぎていった。
そして最後の花火が大きく散った。
花火が終わるときは寂しい気持ちにさせられる。あれだけの音と夜空を彩っていた閃光が急になくなりしん、と暗い空に戻ってしまうから。
名残惜しくて暫く暗い空を見上げていると、「帰るか」と大倶利伽羅さんが立ち上がった。
大分人気(ひとけ)がまばらになった参道の砂利道を、行きと同じように手を繋ぎゆっくり歩く。