刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第38章 夏祭り
「貞ちゃんも上手そう!私なんか蛍ちゃんと愛染くんからお恵みしてもらっちゃったっ」
「あっちゃー!主らしいといえば主らしいなっ!それはそうとっ、主こっちこっち」
「貞ちゃんどうしたの!?」
へっへーと言いながら笑う貞ちゃんに背中を押され戸惑いながらも歩くこと数分、辿り着いた先には大きい木にもたれ掛かって腕を組んでいる大倶利伽羅さんの姿。
貞ちゃんは「こっからは伽羅と楽しんでこいよな、主!」と後頭部で手を組み笑っている。
「きみも楽しまなきゃ損だろ?」
「主ちゃん、伽羅ちゃんと打ち上げ花火見ておいで」
ほら、と光忠にビニール袋を手渡され中を見ると、たこ焼きや焼きそばなどが入っていた。こんなに?と光忠を見ると「いいから行っておいで」と眩しい笑顔で言われてしまい、鶴丸にトンッと背中を押された勢いで大倶利伽羅さんの前にたたらを踏んでしまった。
大倶利伽羅さんは無言で私に向かって手を差し伸べる。そっとその手を取るとぎゅっと握られて、そのままゆっくり歩き出した。
彼に引っ張られながら後ろを振り返ると、光忠達だけではなく、いつの間にか他の刀剣までもがニヤニヤしながら手を振っていた。