刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第38章 夏祭り
大倶利伽羅さんが格好良すぎて動揺を隠しきれない私に、愛染くんと蛍丸が待ちきれないとばかりに「早く行こう」と腕に絡みついてくる。
「あ、うんっ」
ハッと我に返って歩き出すと、皆の下駄の音がカランコロンと軽やかに響いた。
慣れない下駄に少しよろけながら歩いていると、「ガッハハハ、主よどうした?ふらついておるぞ!」と岩融さんの豪快な笑い声。
「下駄が履き慣れなくて歩きづらいの…」
「では俺が担いでやろうか?遠慮せずともよいぞ」
「大丈夫ですっそのうち慣れますから!」
「そうかそうか、ガハハハハッ」
ちゃんと断らないと本当に担がれそうで恐ろしい。
岩融さんは普段から着物を着慣れているせいか、軽装姿でも胸が大きく開いている。
逞しい胸板が惜しげも無くさらされている様子に目のやり場に困っていると、今剣が足首の鈴をチリンチリンと鳴らしながら軽快に私の横を通り過ぎた。
「いまつるちゃんっそんなにはしゃぐと転んじゃうよ~」
「だいじょうぶですよ!あるじさまもはやくはやく!」
普段一枚下駄で戦場に出ている今剣が転ぶなんてあるわけないのについつい注意してしまうと、茶目っ気のある表情で振り返り私を誘う。