刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第38章 夏祭り
「お待たせ…皆、待たせちゃってごめんね」
「ああ主…お綺麗です。とても…」
「あ、ありがとう…長谷部も素敵だね」
「見に余る光栄でございます」
軽装姿の長谷部はまるでどこぞの若旦那のよう。他の皆も軽装姿が似合っていていよいよ夏祭りに行くという実感が湧いてきた。
きょろきょろとつい大倶利伽羅さんを探すと、鶴丸達の近くに彼がいた。ぱちりと視線が合うと心臓が途端に早鐘を打つ。
焦げ茶に光沢ある金の菱形繋ぎの模様が光の加減によって見え隠れするような落ち着いた生地。そして龍をあしらった帯には赤い紐と刀紋のついた根付を下げ、更には戦装束の腰帯を思わせるような紫の帯。
着流し姿は何度も見ているけど、彼の軽装姿は初めてだ。政府の大倶利伽羅が着た写真は見たことはあったが、写真と実物とではこうも違うのかと息を呑んだ。
まさか大倶利伽羅さんまで軽装を着てくれるなんて思ってもいなくて…
あまりの眩しさに思考が追いつかず、目を奪われたまま動かずに居ると鶴丸達が笑いながら口を開く。
「伽羅坊…主が見惚れているぞ」
「ふふ…主ちゃんの可愛さに、伽羅ちゃんも見惚れてるよ」
「…チッ」
「主!伽羅格好いいだろ?主のために着たんだぜ」
「う、うん…」