刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第38章 夏祭り
「さ、最後にこの帯を締めて終わりだよ、主」
「歌仙ありがとう」
「苦しくないかな?」
「うん、大丈夫」
「雅だね…悔しいけどあの男もさぞかし喜ぶだろうよ」
乱ちゃんが選んでくれた浴衣を歌仙が綺麗に着付けてくれている。
白い生地に、ワイン色と薄い赤のグラデーションのお花模様の浴衣。
可愛らしすぎやしないかと思ったけど、着てみると涼やかな肌ざわりと透け感が素敵で、落ち着いた上品な風合いに見えた。
慣れない浴衣を纏った私に歌仙は満足そうに目を細める。お化粧は「俺がデコってあげる」と加州くんがしてくれて、髪の毛は乱ちゃんが器用に結ってくれた。髪留めは勿論前に大倶利伽羅さんからプレゼントしてもらったもの。
最後に赤い紅を加州くんがさしてほらほら、と背中を押されて鏡の前に立つと、まるで自分とは思えない姿にたじろいでしまう。
「あるじさん、本当に綺麗♡」
「乱ちゃんと加州くんの軽装姿の方が余程綺麗…」
「何言ってるの!あるじさんも凄く可愛いよ♡」
「せっかく俺がデコったんだから今日はめいっぱい楽しんでよね!」
「うん!ありがとうっ」
歌仙と乱ちゃんと加州くんにエスコートされながら玄関に着くと軽装姿の皆が待っていた。