刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第10章 かくれんぼ
足音は伊達部屋の前で止まった。
すると「失礼するぞ!」と岩融さんの大きい声が聞こえ、スパーンと伊達部屋の障子が豪快に開けられた。
ハッとしたが、大倶利伽羅さんに抑えられていて動けない。
「大倶利伽羅、主か一期…おっと、昼寝中だったか?」
「いきなり何だ…」
「いや、なんでもないぞ!これは失礼した。ガッハッハッハッ!」
「…」
岩融さんがドカドカと去っていく足音がする。
大倶利伽羅さん、岩融さんに見つからないように私を咄嗟に隠してくれたんだ…
きっとそうだ。やっと彼の一連の行動を理解した。
「行ったぞ…」
「え、あ、はいっ」
そう言われて顔をあげると、間近で金色の瞳と目があった。その瞬間大倶利伽羅さんは驚いたように目を見開き、慌てた様子で自身の手を私の体からぱっと離した。
私も慌てて起き上がり離れると、それに続き大倶利伽羅さんも素早く起き上がった。
見ると大倶利伽羅さんは耳まで顔を赤くして明後日の方向を向いている。
勿論私もこれ以上ないくらい顔が赤いはず…
「あ、あの…匿ってくれて有り難うございます。助かりました…」
心臓が破裂しそうなくらいうるさい中、なんとか声を絞り出して大倶利伽羅さんに伝えると「別に…」と返事が返ってきた。