第37章 修行

「亀甲さん…」

「悔しいけど引き下がるしかないみたいだね…大倶利伽羅とやらが羨ましいよ。…それで、その大倶利伽羅とやらはどうしてここにいないのかな」

「伽羅坊は政府に呼ばれていてな…」

「……そう」

「あの、それ意外のことでしたら私が出来る限り亀甲さんのことフォローしますからっ」

「ふふ…ご主人様は優しいね。こんなぼくなのに見捨てないでいてくれるんだね」

「当たり前です！大切な私の家族ですからっ」

「…家族か…良い響きだね。ありがとう…ぼくもご主人様をこの身に代えても守るよ」


亀甲さんはそう言いながら、ふらふらした足取りで消えていった。

とてつもなく胸が痛んだけど、神気を買いにいかなくても本丸皆に守って貰って過ごして、大倶利伽羅さんが帰ってきた時に事実を知ることになっていたし、遅かれ早かれ結果は同じだった筈だ…


「これで良かったんだよね…」

「よかったんです」

「なんだ？納得がいかない様子だな…じゃあきみはあいつの物になった方が良かったのか？」

「え…」

「違うだろ？ならこれで良かったんだ。余計なことは考えなくていい」


頭をポンポンされながら諭すように言われた。
いまつるちゃんもその小さな体で大丈夫だよ、とでも言うようにぎゅっと抱き締めてくれている。

そうだよね…
中途半端に優しくしたところで亀甲さんのことも大倶利伽羅さんのことも傷付けることになりかねない。