刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第37章 修行
これまで幾度となく神出鬼没に私の前に現れる亀甲さんに追いかけられていたけど、刀剣達の度重なる連携で何とか助かっている。
「小狐丸、ありがとう…」
「なんのこれしき」
「お礼といったらなんですけど、毛並みを整えてもいいですか?」
「宜しいのですか?」
「あ、もし他にして欲しいことがあるなら言ってくださいね?」
「でしたら…そうですね、私の所に嫁入りなど如何でしょう」
「え、えー?」
まさかの嫁に来い宣言に、情けない声が出てしまう。だけど小狐丸はその大きな体を震わせてくつくつと笑っている。
「もうっからかわないで下さいっ」
「ぬしさまが可愛らしいのがいけません」
「誉められても髪を梳かすぐらいしか出来ません!」
いつ見ても美しい小狐丸の白銀の髪の毛。
入念に手入れされているのが一目でわかるし、私が梳かさなくても十分に見えるけど、出来ることと言えばこんなことしかなくて。
小狐丸は私の言葉に嬉しそうに微笑んだ。どうしてこの本丸の刀達はこんなにも優しいのだろう。
私は幸せ者だなぁと心から思う。
櫛を取り出して小狐丸にその場で座ってもらいその後ろに回る。大きい小狐丸が僅かに体を傾けてくれてその綺麗な髪に櫛をゆっくり通した。