刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第37章 修行
「ッ、ああ!流石だっ、ぼくを顕現し従えるだけはある……!ますます惚れたよ!もうぼくの心はご主人様に捕らわれてしまった!」
何故か亀甲さんは喜んでいて、更に強く私を抱き締めてから一旦離れ、私の前に突如跪いたかと思えば手の甲にキスをしながら、ずれた眼鏡の隙間から上目使いでうっとりと私を見つめる。
恍惚としたその表情に、サーッと全身から更に血の気が引いて、ぶるりと身震いした。
「つ、鶴丸…た、たすけ…」
「亀甲だったか?その手を離せ!それに俺の物にしたいって言うが彼女はもう他の刀剣の物だ、残念だったな!」
横にいた鶴丸が私の手を亀甲さんから奪うように掴み引きはがす。その言葉を聞いた亀甲さんは舐めるように私を見つめた。それこそ頭から足の先までじっくり、じっとりと…
「確かに…ご主人様の体から刀の気配がするよ…」
「そうだろうそうだろう!その気配の持ち主である大倶利伽羅と主は相思相愛だ。言っておくがきみの付け入る隙はないぜ」
鶴丸はどうだと言わんばかりの表情で亀甲さんを見るも、亀甲さんはずれた眼鏡を人差し指でクイッと直してから笑みを浮かべた。