刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第37章 修行
そっと重なる唇。そしてそれは自然と求め合うように深くなっていく。
久しぶりとも思えるキスに段々力が抜けていきそうになった時、ふと近侍の事が頭に浮かんだ。
鶴丸が…隣の部屋にいるはず。
こんなことしていたらすぐに気付かれて、後からからかわれるのが目に見えている。
ハッとして慌てて大倶利伽羅さんの肩を掴み、思い切り引き離した。
「ん、待って!鶴丸がっ」
大倶利伽羅さんは少し眉を寄せたものの、またすぐに私を引き寄せ唇に吸い付いた。
「か、らちゃっ…」
焦り身を捩りながら何とか唇を離し彼に訴えると、唇が触れあうか触れあわないかのギリギリのところで止まったまま大倶利伽羅さんが答えた。
「安心しろ、国永ならいない」
「え?」
「あいつなら光忠と部屋で飲んでる」
光忠と鶴丸が?
もしかして大倶利伽羅さんの修行前祝とかそんな感じなんだろうか。そう考えながらもちゅ、ちゅと啄まれていた唇が、吐息の一つも逃したくないかのように情熱的なものに変わり、あっという間に彼のペースに飲み込まれていった。
大倶利伽羅さんとのキスは気持ちが良くて、私の思考はすぐにぐずぐずに溶かされてしまう。そして、お互いの体温が溶け合っていくようにぴったりと隙間なく合わさっていた唇が離れて行った後は、首筋に顔を埋められた。