刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第37章 修行
大倶利伽羅さんもいつか修行に行きたいと言う日がきっと来る…そう思っていた。
断る理由なんてない。その時が来たら笑顔で見送ろう、そう思っていたのに…
どこか寂しいような気持ちになってしまうのは何故なのか…私にとってはたった4日なのに。
それに、彼の前の主である伊達政宗は何のとりえもない小娘の私とは違って、歴史上で誰もが知る偉大な人物。
彼の修行先もきっと伊達政宗に縁(ゆかり)のある場所に違いない。もしかしたら前の主の刀として修行を積む事もあり得る。
偉大な彼の元で長く時を過ごしたら…
帰りたくない…そう思ってしまうのではないだろうか。
大倶利伽羅さんの事を信用していないわけじゃない、でも自分に自信がなかった。
――だけど、彼の足枷になるのだけは嫌だ。
覚悟を決めて、深呼吸してから大倶利伽羅さんの目を見つめた。
「わかりました…」
「いいのか…?」
「いいに決まってるよ?伽羅ちゃんが行きたいっていうなら、私は行かせてあげたいから…」
「…そうか。礼を言う…」
「帰ってくるの…待ってるね」
「ああ」
大倶利伽羅さんの問いかけに気丈に振る舞おうとするも、少し表情に出ていたようでそれを察したのか大倶利伽羅さんが私をそっと抱き寄せた。
頬を包み込まれ金の瞳に見つめられれば愛しさが込み上げてくる。