刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第37章 修行
「ん゛っ…あぁあっ…も、…むり…ほんと、に…」
消え入りそうな声は、肌がぶつかり合う音にかき消され、とうに体力が限界だというのに大倶利伽羅さんは尚も私を攻め立てる…
…
…
「話がある…」
じめじめした季節はいつの間にか移り変わり、暑さで寝苦しくなってきた夜、大倶利伽羅さんはその身に戦装束をきっちりきこなして私の部屋を訪れた。
そして部屋に足を踏み入れるなり至極真面目な顔をして、静かにそう告げたのだった。
隣に近侍がいる状況で夜大倶利伽羅さんがこうして部屋を訪れるのはとても珍しいことなので、少し緊張しながらも座布団を彼の前に差し出した。
大倶利伽羅さんは差し出された座布団には座らず、その横で跪坐の姿勢をとる。少し驚きながら思わず正面にいる私も釣られて正座をして背筋を伸ばした。
「こんな格好でごめんね…」
背筋を伸ばしてはいるものの寝る直前だったので浴衣姿だ。ビシッと目の前で姿勢を整えた大倶利伽羅さんを前にしては何だか申し訳なくなってしまった。
「修行に行かせてくれ…」
前田くんがこの本丸第一号で修行に旅立ち帰ってきてから後藤くん・愛染くん・厚くん等、短刀達が優先的に修行に旅立っていて、皆それぞれ恰好良く逞しくなって帰還し、そろそろ打刀も…と思い始めた時だった。